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始まりの予感(5年と斉藤)


※現パロ
鉢久々表現あり


テスト前の恒例行事となった兵助と三郎の家での勉強会。二人が同居してることもあって仲間うちで一番広い部屋はいつも俺達の溜まり場と化す。

勉強会っていっても俺は特に何もしていない。ただの傍観者だ。授業はまあ真面目に受けてるし、自分で言うのも何だけど要領がいいので試験は難なくパスするだろう。
雷蔵も真面目に受けているのだけど、大ざっぱな性格ゆえにノートが汚い。その為自分でも何が書いてあるのか理解できない状態だ。
ハチにいたってはノートがない。普段はルーズリーフを使っているらしいのだが、ファイリングしない為どこかに消えてしまう。ノートとる意味ないんじゃないって何時も思う。


「あー!もう無理!」

「無理じゃない。ほら、はっちゃんこの定義覚えれば3割はいくから」

「ああ…悪いな、兵助」

「いいよ、別に。俺これくらいしかはっちゃんの役にたてないし」

「…ん、サンキュ」

あらら、天然同士は罪だよね。仲睦まじいなあ、三郎が見てなきゃいいけど。あ、見てたみたい。

「はち…今すぐそこどかねえとお前の分の夜食はない」

「なんだよ、三郎。お前心狭いなー振られるぞ」

「ああ、振るぞ」

「へ、兵助さん!ひど!」

「あーいい匂い。三郎なに作ったの?」

「ん、ナポリタン。雷蔵進んだ?」

「ううん。寝てた。三郎続き教えて」

さて、俺もナポリタンを頂こうかな。と思った時ひとつチャイムが鳴り響いた。

「あ、勘ちゃんでてくれる?多分斉藤だ。」

兵助の頼みとあれば面倒な客を迎えることもしましょうか。重たい腰をあげ、ドアを開くと兵助の予想通りそこには金髪の青年が立っていた。


「あー尾浜くん。こんばんは、兵助くんに聞きたいとこあって」

「兵助なら今はちに勉強教えてるとこです。」

「えーそっか…」

「何、どこですか」

「生命科学…」

「共通科目なら俺でもできますよ。入って、教えてあげますよ」

はちなら許せるけど、何故かこの男が兵助に近づくのは許せない。はちは天然だけど、この男は裏がある気がするのだ。

「ありがとう、助かるよお」

しかしタカ丸さんは俺の気持ちとは裏腹に無邪気な笑顔を見せた。何故だか胸が少し痛かった。

「別に…あ、ナポリタン食べます?」
胸の痛みをごまかす為に優しい言葉をかければ、また笑顔を返され苦しくなった。
「えーいいの?」



なんだこれ…罪悪感かな…



「や、斉藤の分まではねえから」

「三郎の分は?あるだろ?」

「ねえ、なんでみんな俺に冷たいの?」


そんなお決まりのやりとりにみんな笑顔が溢れる。みんなで助けあって、笑いあって、うん。こういうのって悪くないな。

小さな胸の痛みはひとまず放置しよう。大丈夫だ。


だってほら、あと少しで夏休みだもん。








始まりの予感







「三郎夜食ありがと」

「ん」

「てかさ、勘ちゃんって斉藤気に入ってるよな」

「無自覚だけどな。何、嫉妬?」

「うん」

「…そこは否定してくださいよ」


0725
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