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別れ話(タカ久々)

※現パロ



「ごめん。斎藤」

それは突然のことではなかった。予想の範囲内と言えばそうだ。恋人達の最大のイベントのクリスマスでさえ俺達は別々に過ごした。

メールはいつからか回数が減り、会うのはバイトのシフトが重なった時だけになっていた。会えば嬉しくて笑顔がこぼれたし、帰り道では触れ合い、唇から温もりを感じた。



でも

ほんとは気付いてた。兵助くんの心がもう俺には向いてないこと。

でも気付かないふりしてた。兵助くんがハッキリ言わないのをいいことに

もしかして兵助くんの一時の気の迷いかも、時間がたってさ
よく考えたらやっぱり俺の隣が良いって思うかも

ね、兵助くん





「ごめん、斎藤。俺が悪い。もっと早くハッキリさせておけば良かったんだ。」

暗くて兵助くんの顔が見えない。でも声が震えてる。兵助くん多分目に涙をたくさん浮かべてる。

「斎藤のこと本当に尊敬してるし、好意もある。だけど今の関係は恋人とは思えない。ただの友人だ。」

うん、俺もそう思う。
こんなに想いを伝えあわない恋人いるだろうか。バイトがあったから話して、触れて

そんなの雨が降ったから傘をさすのと同じだ。晴れなら俺は必要ない。持ってても歩くことの邪魔にしかならない。



前に進めない。



「これは俺の気持ちだ。斎藤はどうなの。このまま進むか、前に戻るか…俺は…進んだとしても関係が変わるとは思えない…」


「このまま進んだらさ、兵助くん俺に罪悪感なんでしょ?後ろめたいんでしょ?俺兵助くんがつらいのやだなあ」

「…さいと」

「俺は進む。このまま進む。でも兵助くんとは別の道を行く。ね、お互い進も?」



戻るなんて言わないで、だって俺達が今まで築いてきた道はもう引き返せない。大切な、大切な道だから。


「…斎藤…お前そういう優しすぎんのよくねえぞ…」

「何それ、あ。これからもバイトは一緒だからさ、普通に話してね?俺普通に話せるから」

「普通」


「うん。あ、あと別れたからって急に俺ばっかり倉庫管理やらせないでね」

「あほか、お前は…」






あ、笑った




やっぱりさ、笑った君が一番好き。でもその横に俺がいなくてもいい。君を笑顔にできる人がいるのなら。



そうだ、帰りに鉢屋くんちに寄ろう。兵助くんと別れたって言ったら少し眉をたらして「ざまあみろ」なんて言うだろう。

そして俺が伏し目がちにでも言葉を漏らせばきっと温かい鍋を作ってくれる。





うん、まだまだ心は温かい。




大丈夫




大丈夫





別れ話





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「お鍋食べたい」
「フライパンでもかじってろ」



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