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いっぱち物語(仮)
12
「はーあ、わかったよ。オレが相手すればこいつ逃がしてくれんでしょ?ちゃんと気持ちくしてよー」

そー言いながら、何食わぬ顔でジミーに近付く。相手しますよー、逃げませんよー、って体で。

「全員相手したげっからさー。一番目は誰にする?」

ジミーを立たせながら言うと、3バカの目が欲にギラついてオレにロックオンされる。うえ〜、マジで気持ち悪い。

「お前ちゃんと走れよ」
ボソリとジミーの耳元で囁くと、その腕を引っ張って走り出す。

「走れ!!」

「え…あっ!この野郎!」

「逃がすな!」

3バカが直ぐ後ろを追い掛けてくる。ジミーが走ってる事を確認して、腕を放して自分の走りに集中!危ないかんね!林ん中走るとか、転んだりぶつかったり危ないかんね!

「クッソ!待――――」

しばらく走ってると、声が途切れたと思ったら、ヒキガエルみたいな3人分の声と、ガサガサとした摩擦音。前を走ってた一人が、木の根に足を取られて転んだらしー。次いで、一人、もう一人、と。自爆してくれるなんて、なんつー空気の読めるバカ3人。ありがとう。キミ等の事は忘れな…………いよ?今日ぐらいは。

3バカが見えなくなっても走って、やっと一息だけど、息が荒すぎてなかなか言葉が出ない。

ちょー横っ腹イテーし!

「も、っ、むり、ムリ、息、ムリ、ッ、はっ、ハッ、ぜっ」

木に抱きつくよーにへばってるオレの横で、ジミーも座り込んで息を整えてる。

鍛えたほーがいんかなぁ、体力無さ過ぎだわ、オレ。走ろーかしら、とか、筋トレしよーかしら、とか考えてたら落ち着いてきたけど、何だべ?ジミーが俯いたまま微動だにしないとゆー、何かこえー。

「ハぁ、大丈夫?」

「……………で」

パードゥン?

「何で…助けたんですか…」

ボッソボソボッソボソ、シャキッとせんやつだなー。ちゅーか何でて、もしや大きなお世話だったんけ。そりゃスンマセンしたねー。

「…何で…いつも放っといたじゃないですか…」

「……はぁん?何だそりゃ。チミさー、被害妄想も責任転嫁もえーかげんにせーよー。助けて逃げんかったんはチミだよチミ〜」

マジもーホント今日は緊急事態だったからしゃーねーけど、もじゃに振り回されてるぐらいじゃもー助けてやらんもんね。めんどっちー。

「助けて欲しいなら助けてって言えば。嫌なら嫌ってハッキリ示せよ。オレに恨みがましい目ぇ向けんのは筋違いっしょ。メンドクセーんだよお前。オレはお前にとっての都合のいいヒーローじゃあねーんですけどー」

ホントきゃん玉付いてんのこいつ?

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