[携帯モード] [URL送信]

Lover's end
5

だから、後悔は続く。


「『もしも』、私があのまま生きてたら、26歳なんだよね」
「そうだね」
「想像、つかない?」
「いや、さ、何て言うのか……」
「やっぱり、分からないかな」


彼女はタンポポの綿毛の様に再び浮き上がり、膝を抱えたまま顔を伏せた。

想像がつかないというよりは、彩華姉さんがあの頃のまま傍に居るのが当たり前過ぎた。
彼女は変化し続ける俺を間近で眺めながら、変化する事のない自分を淋しく感じていたのかもしれない。

「もしかしたらそのままカズ君が学校を出たら、やっぱり私が無理矢理カズ君を捕まえるかもしれない」
「捕まえるって…何さ…」
「そして結婚して、二人の子供が産まれて、家族みんなで笑いたかったな」
「……そうだね」

言葉を受け止める間にも、『もしも』と『どうしようもない過去』は俺達を切り刻んでいるだろう。
それでも、俺達は此処に在る限りは逃げられないし、悔やんではいけない。
それが、今の俺達の絆だから。
だからこそ、彼女は気兼ねなく、容赦ない『もしも』を語り、自分達を試すのだ。
過去から続く、この絆が断ち切れる時が、いつかと。

[*←前][次→#]

5/6ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!