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Lover's end
3

「あ、また黙っちゃって。カズ君昔から困ると黙っちゃうよね」
「困ってるって分かってるなら言わないでくれよ」
「本当なら私が捕まえてたのになぁ」

また一拍、言葉が詰まる。
嬉しい半面、その間に生まれた様々な気持ちは沈んでいく。いや、自ら沈めていく。


『もしも』、は、俺達にはもう無いから。


分かっていても、この事実は覆す事など出来ない。
尚の事、死を強調させるだけだから。


それでも貴女は、

「そんなに困らないでよ。悪かったから」

あの頃の様に、苦笑めいた笑みを浮かべてくれる。

あの頃と、変わらないままで。



不意に。
カラカラと音がした。

身体を起こすと、同い年くらいのカップルがこちらへ向かってくるのが見える。
彼氏の方は自転車を引きながら、彼女と他愛の無い話で談笑しているようだった。

「…やっぱり、いいなぁ」

彩華姉さんが呟く。
その言葉は風に散らされそうだったけど。

「…何が?」

「あんな風に恋人らしい事、もっとしたかったな」

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