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交錯タイトロープ
2-4
息を乱す事も無く、颯爽と駆け抜ける理子に対し、恭は額に汗を零しながら、乱れた呼吸で返す。
「…ぅるせッ…陸上部のお前と…俺を同じに…すんなよっ…」
「昔はアンタの方が速かったのにねぇ?何コレ、アタシが凄くなったの?それともアンタが退化しちゃったの?」
「…ぐッ…」
言い返せない自分が情けないが、事実なので仕方ない。
恭は呼吸を保たせつつ、理子の後をチラチラと様子見る。以前から行っているジョギングだが、コースを見る限り、現在自宅までは残り約800メートル程の距離。
そして理子が一瞬速度を緩めた瞬間、大人げない全力ダッシュを敢行した!
「ぬぅぅおォォラァァァァ!!」
「あっ!?」
鬼神の如き表情で、持てる限りの全速力を発揮する恭。それに気付き、一瞬出遅れた理子はペースを上げる。
「ィィィィイイイ!!!!」
謎の奇声を上げ、恭は正に今、風と一体化していた。それは誰も追い付かせない、絶対の領域。
最終コーナー代わりのポストの見える交差点を右に曲がった時、彼は勝利を確信した。
(俺のッ!勝ちだぜッ!理子ォォ!!)

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あきゅろす。
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