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交錯タイトロープ
2-3
「朝から騒がしいな。そんなに元気なら一手交わすか、恭?」
「ちょっと、ダメだよ、おじいちゃん!恭は私が先にジョギングに誘ったんだから」
「え?あ、そのつもりだったのか?」
「だーかーらー、早く着替えてきてってば!!」
間の抜けた問い返しをする恭と自身の祖父に説明する理子を眺め、宗十郎は髭をしゃくり上げ、そのまま背を向けた。
「致し方ないか。ならば朝餉を作っておこう」
「ああ、いいよおじいちゃん!帰ったらすぐに準備するから!」
そう言いながら、理子は恭に目で「早く行くよ」と命令する。
了解もしてないのに勝手な事を言う幼馴染みに恭はペースを掴まれたまま、渋々別のTシャツを着込んだ。



朝の通りに目を覚ましたばかりの鳥の囀りが耳に入ってくる。
その中を規則的にリズミカルな駆け足で少女と少年が走っていく。
朝日はまだ初夏でありながら、普段よりも暑い陽射しを注ぐ。もう幾日もすれば本格的な夏の到来を感じさせてくれるだろう。
それでも風を切る二人の肌には朝の空気は涼しいものだった。
先行する理子がちょっと後ろについてくる恭に声を掛けた。
「…やっぱりアンタ、鈍ってない?」

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