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交錯タイトロープ
2-2
軽蔑の視線を浴びせ掛け、理子と呼ばれた少女は慌てふためく恭の発言に眉を寄せた。
「ハァ!?アタシが何を勘違いするっていうのよ!!アンタこそ勝手に人を変態呼ばわりなんてどうなのよ!?そんな格好で!!」
「ちがッ!!違うわ!!朝っぱらから寝汗が酷いから風呂場に行こうとしただけだっつーの!!」
「うっさい!!バカ!!死ね!!」
必死に釈明を続けようとする恭の鳩尾に、理子の鋭い前蹴りが突然突き刺さる!恭は声も上げられずにくの字に曲がり、たたらを踏みながらも堪える。
「……ぉ、まえ…!!何もして、ない…ってのに…コレは、酷くない、か!?」
「あれあれぇ?鈍ってるんじゃな〜い?恭ちゃ〜ん?ていうか、ナニかするつもりだったのォ〜?」
寝汗でじっとりとしていた肌にまた脂汗が零れる。そこへ落ち着きのある低い声が聞こえる。
「何事だ?騒がしいな」
そこに立っていたのは白髪を滝の如く伸ばし、口元にも立派な白髭を蓄えた壮年の老人の姿。だが、その目元は鋭く、身に付けた白い道着から見え隠れする身体は隆々としており、老人のそれではない。
武人の如き気迫を持つこの老人は「近衛 宗十郎(コノエ ソウジュウロウ)」といい、恭の師匠であり、恭の住む下宿の家主である。

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あきゅろす。
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