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交錯タイトロープ
7-10



「ただいま」
「帰ったか、従者」
「へ?あれ、アンタ?」
昼時、学校から帰ってきた恭を出迎えたのはサリアではなく、クェルナであった。
「何で、どうしてまたアンタになってるんだ?」
「理由は説明してやる。後で裏の蔵に来い」
言われた通りに制服から着替え、木刀を手にして蔵の前に向かうと、クェルナが髪を縛っている所に出くわした。
「長い髪では動きにくいのでな」
「どういう事だよ?サリアはどうしたんだ?」
クェルナは簡単に説明する。サリアが自分の修業の為にクェルナに接触。その間、サリアの身体は動けない為にクェルナが身体の主導権を借り受けて、代わりに恭に修行をつけてやる事にしたという事だった。
「──という訳で、今日より汝に修行を付けてやろう。主に対魔法用戦術を軸に基礎能力の強化を行う」
「分かった。それじゃ頼む」
「ん?思ったより殊勝な姿勢だな」
「じっちゃんからの受け売りだよ。信頼出来る師匠には真面目に鍛練を受けろってな。それじゃなきゃ、自分の為になる物を100%覚えられないって」
「成程。やはり汝の師は優秀だな」
感心しながらクェルナは蔵に恭を招き入れる。そして恭が見たのは、明らかに実際の広さよりも大きくなっている蔵の中だった。
「あー、あれか、魔女の力で結界かなんかで広くしたのか」
「その通りだ。人目の付かない場所で修練しようにも、狭い場所では周囲に迷惑を掛ける。これならば思う存分、汝を鍛える事が出来るであろう」
その言葉が終わるか終わらないかの間に恭は駆け出して、木刀を抜いた。
「フッ!」
木刀を踏み込みと共に一振り。更に二、三の連撃で広さを確認しながら恭はクェルナの元に戻る。
「成程、これだけ広ければ思いっきりやれそうだな」
「ならば始めるぞ。時間が惜しいからな」


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あきゅろす。
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