深い闇の底で見つけた光
04
渡された服は全部着たのだが、私はどうしたものかと首を傾げる。
「…どうして下が無いの」
ちょうど着物で見えないのはいいものの、さすがに何か無いとまずい。
部屋を見渡すと端に自分の鞄が置いてあった。
「…そうだ。確かスカートがあったはず」
部屋の端まで歩いて行き、鞄の中をあさる。
「えっと…確かここにあったはず。あ、あった」
鞄からスカートを引っ張り出すと、すぐにそれを履く。
「なんか懐かしいなぁ…」
この世界に来てからそんなに月日はたっていないとは思うんだけど。
今となっては懐かしいこの鞄に私はそっと笑った。
「薫ーっ終わったよー!」
「そんな大声で叫ばなくても聞こえてるよ」
その声とともに襖を開けて、薫は私をまじまじと見る。
「…ぎりぎり平気かと思ったけど、やっぱり無理があったかな」
「無理だよ。というか、動き回れないしっ」
腰帯に刀をさして、ため息を吐いた。
「えと、どこ行くんだっけ?」
「…ついて来ればわかることさ」
そのまま私の手を取って、薫は歩きだした。
「わ、薫!?」
「はぐれないように」
「う、うん」
外に出て、辺りを見渡す。
薫が言うにはもう夜らしいけど、私の目には昼のように映っていた。
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