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深い闇の底で見つけた光
01
深い闇。私は一人その中を歩いていた。

これは、夢だ。

いつも見ていた、あの夢。

誰もいない、光もない。拒絶しかない、闇。

また闇に飲まれて起きるのか、と目を閉じようとした時。

光が見えた。

暖かい、あの人の光。

その光を見失わないように。その光に届くように。

私は必死に手を伸ばす。

あともう少しで届く、そう思った時――。

「………」

目が覚めた。

「…朝?」

「…何言ってるんだよ。今は夜」

「…え?」

薫にそう言われ、私は窓の外を見る。

夜、なのに。

まるで昼のよう――。

「…本当に、夜?昼のように明るいけど…」

「…雪音。昨日の事、覚えてる?」

「…昨日の…事…」

ゆっくりと思い出していると、薫が刀を鞘から抜いた。

そして指の先を少し深めに、切った。

「…何、して…」

そこから溢れ出る、血。

「…ぃ…や…」

ドクリと、私の中にある何かが弾けそうな感じがして、私は必死に首を振る。

目に映っている髪の色が黒から白に変わっていく――。

そうだ、私、羅刹になったんだった。





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あきゅろす。
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