[携帯モード] [URL送信]

short
前髪/甘
前髪が長いのは自分の顔を少しでも見せないようにするため。

クラスでも目立たず、ひっそり生きてるつもりだったあたしに、何故だか彼、田島君は毎日話しかけてくれる。

「苗字、おはよ−っ!」

「おはよう田島君」

席が近いわけでもない。
実のところ田島君が話しかけてくれるまで、あたしは田島君のこと、ぜんぜん知らなかった。

何であたしなんかに話しかけてくれるんだろう。




一日考えたけど、分かんない。

放課後、あたしは一人教室の窓から野球部を覗いていた。

ああ、田島君ってすごい野球上手なんだ、なんて思いながら。

ぼーっとしていたら田島君を見失った。
まあ良いか、なんて思った瞬間教室のドアが勢いよく開いた。

「苗字っ!」

「たじま、くん」

何で此処にいるの?練習は?
って聞いたら、

「今はきゅーけー!」

ってニコって笑って答えてくれた。

「何で教室なんかに来たの?」

「苗字が居そうな気がしたから!」

どうしてあたしなんかに話しかけてくれるの?

一番聞きたかった質問が、今なら聞けるような気がした。

「田島君はどうしていっつもあたしなんかに話しかけてくれるの?」

地味だし、可愛くないし。

田島君はびっくりしたような顔をして、

「苗字は可愛いよ?」

なんてさらっとそんなことを言ったのであたしは思わず

「嘘、冗談でしょ?」

なんて聞き返してしまった。

「嘘でも冗談でもねえよ!」

「田島、くん」

「後な、ずっと思ってたんだけど苗字、前髪切った方がぜってえ良い!」

ゲンミツに!
なんて言って笑う、










君の言葉一つで切ってみようかな、なんて思ったあたしは単純なんだ









その後ヒロインちゃんは前髪切ります。
田島くんがそのとき、

「やっぱそっちの方が良い!
 ゲンミツに俺そっちの方が好き!」


なんてさらりと爆弾投下します←

勿論確信犯です彼は!((

←back
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!