誘う(※18禁)・5

 射精を終えたあと、ふたりは深く繋がったまま、呼吸を整えていた。

 ぐったりとベッドに伏しているカイジの腰は、依然として指が食い込むほど強くアカギに捕らえられたままだ。
 中に放たれた液体が熱いのか、カイジは居心地悪そうにもぞもぞと身じろいでは、力なく目を閉じてため息を漏らしている。

 本人は完全に無意識なのだろうが、カイジが動くたび、狭い孔の中にいるアカギはゆるゆると扱かれ、イったばかりの敏感さも手伝って、簡単に硬さを取り戻しつつある。
 加えて、陶然と余韻に浸るカイジの表情は言いようもなく淫猥で、アカギの劣情を焚きつけるには十分過ぎるほどだった。

 足りねぇ、と思いながら、アカギはゆるく抜き挿しする。
「あ! あっ、あっ……」
 ぴくんと反応して仰け反る背中を見ながら緩慢にピストンしつつ、アカギは深く息をついた。
 このまま抜かずに激しく突きまくって、もう一度果ててしまいたい気もしたけれど、その誘惑をぐっと耐え、カイジに声をかける。
「カイジさん。仰向けになって……」
「あっ、ぁう、うっ……」
 快感に潤む目でカイジはアカギを振り返り、欲望に燃える瞳を見ると赤い顔をさらに赤くして、言った。
「んっ、わかった……から、あっ、腰、動かすなって……」
「うん……」
 そう返事をしながらも、アカギは後ろから突き上げるのをやめない。
 にゅるにゅると肉棒の出入りする刺激に、カイジはぎゅっとシーツを掴んでアカギを睨みつける。
「あっ、アホっ……、は、ぁっ、こんなん、されてたら、動けな……ッ、あ……、んっ……」
 甘い声で抗議され、アカギは名残惜しげに二、三度強く突いたあと、動きを止める。
「……ごめん。気持ちよくて、つい」
「……ッ……」
 軽く息を乱しつつ悪びれずに言うアカギを、カイジは呪わしげに見遣った。

 ゆっくりとアカギ自身が抜け出ていくと、それにさえ感じてカイジの体がぶるりと戦慄く。
 栓を失った窄まりからはアカギの放った白濁と潤滑ゼリーの混ざり合った液体がどろりと溢れ出し、カイジの内股に幾筋もの濡れた跡をつけながら伝い落ちる。
 その感触に顔を顰めつつ、カイジはアカギの要求どおり、仰向けに寝転がった。

 勝気そうなのにしっとり濡れている黒い瞳、紅潮した頬、浅い吐息を紡ぐ唇。
 イったあと、また昂り始めている恋人の顔を真正面から見て、アカギはゆるく口許を撓める。

 児戯のように軽い口づけをその顔にいくつも落としながら、アカギはカイジの足を抱え上げ、腰の位置を合わせる。
「っふ、バカ、やめろって……」
 キスを避けるように顔を背けながら、擽ったそうにクスクス笑うカイジの体から力が抜けたのを見計らって、アカギは十分に勃起した自身を、さっきまで散々嬲っていた後孔へと再度突き入れた。
「あっ……あっ……」
 亀頭がずぷりと入り込んだ瞬間、カイジは表情を悩ましげなものへと一変させ、婀娜っぽい声を上げる。
 よく馴染んだソコで深く繋がると、アカギは微かに肩を震わせる。
 さっきは早々に埒をあけてしまったから、今度はできるだけ、じっくり愉しみたいし愉しませてやりたいと思っていた。

 だから疼く腰はあえて動かさず、アカギはカイジの胸に顔を寄せる。
 乳暈に唇を被せるようにして吸い上げると、カイジは震える腕を持ち上げて、両の掌で顔を覆ってしまう。
 それを咎めるように、アカギは強く歯を立てた。
「ぃっ……!」
「わざわざ体位変えた意味くらい、わかってんだろ……」
 低く言いながらもう片方の乳首もきつく抓り上げれば、顔を隠していた手が観念したようにずるずると下げられる。
 痛みのためか快楽のためか、赤く潤んだ三白眼だけを覗かせ、カイジは恨めしげにアカギを睨みつけた。
「そう……ちゃんと、顔見せて……」
 浅く笑い、アカギはカイジの顔を見上げながら、見せびらかすように胸へ舌を押しつける。
 口の中で乳首を転がすと、後ろの粘膜がうねって中にいるアカギ自身も心地よく絞られる。
 そうやって胸だけを弄り、ときおり気まぐれに浅く突きながら、絶頂には及ばない緩やかな快感を愉しんでいたアカギだったが、やがてカイジの方が我慢の限界に達してしまった。
「っ、なんで、そんな……っ」
「ん……? なに……?」
 アカギがわざとらしく空とぼけてみせると、カイジは忌々しげに舌打ちし、ちいさな声で言う。
「もっと……さっき、みたいに……っ」
 そこで言葉を詰まらせ、もどかしそうにアカギの腰に足を絡めて引き寄せる。
「はぁ……っ」
 自ら腰を揺すり、中の怒張をイイところに当てて快感に目を蕩けさせる。
 さながら、自身を自慰に使われているような痴態が、アカギの欲望に火をつけた。

「カイジさん……」
 掠れた声で名前を呼び、アカギはカイジの頬の傷に舌を這わせてから、唇を重ねる。
「あぁ……んっ、ん、くぅ……ッ!」
 上がる嬌声を飲み込むように深くキスしながら、思いきり中を抉ると、アカギの腰に絡まったカイジの足が跳ね、爪先がきゅうっと丸まる。
 濃厚に舌を絡めながら、本能の赴くままグズグズにとろけた後孔を思うさま穿っていると、もともと我慢していただけあって、たちまち絶頂感が込み上げてくる。
 それはカイジも同じなようで、激しい律動に合わせて揺れるカイジ自身は痛々しいほど勃起して天を仰ぎ、先端から白濁した我慢汁をとろとろと溢れさせていた。
 もはや、どこをどんな風に突いても悦んで締め上げてくる恥肉に、アカギは獣のように呻き、どろどろに濡れそぼったカイジ自身に手を伸ばして扱き上げる。
 雁首の括れに指を引っ掛け、鈴口をくるくる撫でるとビクビクとカイジのモノが暴れ、アカギの腹に向かって二度目の精を勢いよく迸らせた。
「んん、ッ!! ……あ、ぁふ、あっ、ああ……っ」
「……く……ッ」
 生き物のように収縮する肉壁はまるで犯すように男根に絡みつき、アカギもまた、押し留めようもない絶頂の快楽へと身を投じる。

 繋がった部分がドクドクと熱く脈打つのを感じながら、ふたりは深く抱き合って目を閉じ、目眩のしそうな快楽にどっぷりと浸ったのだった。




[*前へ][次へ#]

38/75ページ

[戻る]