乾く暇もなく(※18禁)・6



 最後の一滴まで絞り出すと、しげるは肩で息をしながらカイジの体にぎゅうっとしがみつく。
「きもちよかった……また、しようね」
 陶然と呟くしげると同じように息を弾ませつつ、カイジは深くため息をつく。
 二度もイかされ、やっとのことで冷静さを取り戻してみれば、中坊が宿題に使う絵筆でよがり狂わされてしまったという事実しか残らず、カイジはショックでみるみる気分が落ち込んでいくのを感じていた。
 体の上で急速に冷えていく精液の感触が気持ち悪いが、拭き取ったりする気力すら沸いてこない。
 しかし、これだけは言っておかなくてはと思い、カイジは力を振り絞ってしげるを睨むように見据える。
「筆はもう、嫌だからな……」
 しげるはぱちぱちと瞬きして、緩く首を傾げる。
「どうして? あんなによがってたクセに」
「『どうして』ってなぁ、お前っ……んぐっ……んっ……」
 キスで唇を塞がれ、カイジは言葉を飲み込んでしまう。
 結局いちばんダメなのは、宿題をやらないしげるではなく、こんなにも流されやすく快楽に弱い自分自身なのかもしれない、とカイジは思ったが、
「……また、しようね?」
 唇を重ねたまましげるに言われ、渋々ながらも頷いてしまう。

 ふと横目で部屋の中を巡らせた視線の先、燦々とした真昼の光を浴びてひときわ白いキャンバスが目に入り、八つ年下の恋人と舌を絡めながら、カイジはやはり、罪悪感に目を背けずにはいられないのだった。





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