不思議な来訪者
9
「何だこれは…」
キッチンテーブルにはこれでもかという程の料理がところ狭しと並べられていた。
この和洋中と統一感が全くない感じは…
「武!!」
俺はすかさず武を呼んだ。
だが、返事はない。
こんな馬鹿をやらかす奴は武に決まってる。あの野郎、相変わらず金銭感覚が麻痺してやがる。
…いったい誰がこんなに食うってんだよ。
俺は量より質(味)派だ。
武の馬鹿はそれなりには食べるが、こんなにも大量には食べねーだろうし、壮史もとてもではないが、大食漢には見えねー。
つーか、この俺が呼んでんのに来ねーなんて武の野郎、偉くなったもんだな…。
「武、さっさと来いや!!」
…………………。
ドドドッ!!
お、やっと起きやがったか。
バン!!
「なんだかんだて蛮の声に体が反応しちまう自分が恐いぜ!!」
数秒後、勢いよく入ってきた武は何故かゼイゼイと肩で息をしていた。
「武、正座」
「はいッ!!…ヤベェー!条件反射マジぱねーよ!!」
「黙れ」
俺は武を黙らせるべく、右ストレートを放った。
バキッ!
「ッ!!(理不尽だ…)」
武は床に倒れこんだ。
見事に顔面が腫れた武にもう一度正座をさせる。
ったく、勝手に正座崩しやがって。面倒が増えたじゃねえか。
そう文句を言ってやると何事か喚き立てやがったのでもう一発殴った。
そんな時、後ろからするりと腕が回ってきた。のし、その後からきた重みで壮士が俺の肩に顎を乗せたのを感じた。
「何だ?止めんのか?」
俺の教育的指導を?
「そ、壮士さん!!」
不機嫌になる俺と感動して目を輝かせる武。
そんな対照的な反応を返す俺らに壮士の声が聞こえた。
「…ダメ、ち、がう。」
追い討ちをかけるようににフルフルと首を横に振る仕草をした。
「壮士さん!蛮の暴力止めてくれるんじゃないんスか!?」
そこで一転、天の助けとばかりに壮士に縋ろうとしていた武がガックリと肩を落とした。
そんな中、
「俺、も。構っ、て…?」
壮士の口から放たれたのは意外な言葉だった。
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