[携帯モード] [URL送信]
ツンとデレの割合は、柿ピーくらいが丁度いい。





なんだか、久しぶりに良い夢を見た気がする。

どんな夢だったか、細かな内容は覚えていないけれど。





「おい、いつまで寝てんだよ」


あー、こんな感じの口調。懐かしいなあ。デイダラ君かな、サソリさんかな。飛段君かな。



「おい!起きろって!あーもー、薬はとっくに切れてるのに……」


ん?薬?

薬って……もしかして。



大蛇丸さん、ちゅーは勘弁して下さい!!

「うお!?」


勢いよく起き上がると、どうやら私の顔を覗き込んでいたらしい人影が後ずさった。
イマイチ状況が理解出来ず、しぱしぱする目を擦りながら辺りを見回した。


薄暗い室内。蝋燭の灯り。そして、



「ようやく起きたか。じゃさっさと荷物片付けろよ」

「お……おお……?うおおお……!?」

「な、なんだよ気持ち悪い」

香燐ちゃんだーーー!


これまでの抱き着き対象が、やたらと戦闘スペックの高い人たちだったからかも知れない。なんにせよ今回はいつものパターンとは違って、避けられて床にべちゃっなんてことにはならなかった。


「なっ……なんだこいつ!離れろ!抱き着くなーっ!」

「あはははははははやっべえ超癒し!なにこれすごい!」

「おっ大蛇丸様ーっ!大蛇丸様ーっ!」



笑いながらやってきたところを見ると、大蛇丸さんはこの状況を予見していたみたいだ。


「大蛇丸様!変なヤツとは聞いてたけど!ここまで変なヤツとは聞いてないです!」

大蛇丸さんの陰に隠れて、私にじっとりとした視線を向けてくる赤毛の子。
原作で見たよりも、まだ幼さの残った頬を引きつらせている。


「いやあすみません。つい反射的に。名前といいます、どうぞ宜しく」

「宜しくしたくねーよ!なんだよお前!」


第一印象は最悪らしかった。私に向かって敵意を向ける香燐ちゃんをなだめて、大蛇丸さんはどうやら私の個人情報らしき書類を香燐ちゃんに手渡す。


「一応渡しておくわ。目は通さなくて良いわよ」

「大蛇丸様……ホントにウチがこいつのお世話係ですか?やだなぁ〜」

「大丈夫よ。慣れれば無害だから」


私が薬でお寝んねしている間に、引っ越しは無事終了したらしい。
ここは南アジト。香燐ちゃんが管理を任されているゆえに、私のお世話係(と書いて監視係と読む)に香燐ちゃんが任命されたようだ。

私としては大歓迎だ。常に余裕たっぷりにスカしているカブト君やサスケ君をからかうのも楽しいけれど、やっぱり打てば響くリアクションをしてくれる存在は欲しい。

その点この子はすごい。リアクション芸人かってくらいリアクションの宝庫だ。


「同性だし、暇潰しの相手にはちょうど良いでしょう?」

「さいっこーデスね。ヘソ出しニーハイ元祖ツンデレ眼鏡っ娘やったぜ!」

「大蛇丸様!やっぱウチこいつやだぁ!」


仲良くなさい。と無責任に言う大蛇丸さん。
香燐ちゃんには悪いけど、しばらく私の遊び相手として付き合ってもらうとしよう。



大蛇丸さんが出て行った部屋の中、ムスッとしている香燐ちゃんにスススと擦り寄る。

「まあまあ、そんなに不貞腐れずに、仲良くしましょうよ。ねっ」

「ふん。ウチはアンタなんか認めねーからな。ちょっと大蛇丸様のお気に入りで……サスケとも仲良いらしいけど」

「あ、なるほどそっか」


避けられているメインの理由はそれらしい。大蛇丸さんから色々聞いているんだろう。まあ初対面でガッツリ抱きついたからってのも大きいとは思うけど。

いやしかし、彼女は勘違いをしている。

私はサスケ君を、こう、なんていうか、愛でたいだけであって、恋愛的な意味でどうこうしたいってわけじゃないんだ。その辺理解してもらわないと。



「あー、香燐ちゃん。そのサスケ君について少しお話があるんデスけども」

「なっなんだよ」

「香燐ちゃんってサスケ君めっちゃ好きじゃないですか」

「なっ何言ってェ!?大好きとかそんなんある!……わけねーだろっこのォ!」


何この子めっちゃ可愛い。

もう一度言う。


「めっちゃ可愛い」

「ハァ?」

声に出てた。

まあとにかくだ。


「分かります分かります。サスケ君めっちゃ可愛いデスもんね分かる」

「は?サスケはどっちかというとカッコい……くねーけど!別にぃ!」


あれ?解釈違い?まあいいや。

「ともかく!何ていうか私はサスケ君ファンというよりサスケ君愛好家というかサスケ君をおちょくり隊というかそういう感じでして」

「お、おう」

「香燐ちゃんのライバルになるつもりは毛頭無いわけですよ。オーケイ?」

「うーん」

香燐ちゃん、それはそれでどうなんだコイツ。って顔してる。


「ねー仲良くしましょうよー!サスケ君のちょっと恥ずかしいエピソード教えてあげますから!」

「んんんんんん!」


やぶさかでもないらしい。


多少嫌われてたって大丈夫だ。だいたいカブト君もサスケ君も、香燐ちゃんの比じゃないくらい冷たい態度から始まった。今でもそこそこ冷えてるけど、以前程じゃないし少しだけ態度が軟化してきた……と思う。

だから香燐ちゃんとも、きっと仲良くなれるはずだ。


手始めにサスケ君の部屋でエロ本探しをした話でもしてやろうと、私は密かにほくそ笑んだのだった。




(そういえばお友達になったようでなり損ねたと言えば、水月君とか……)
(水月?アイツと知り合いなのかよ。アイツもこっちのアジトに来てるはずだぞ)
(マジで!?)

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!