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「・・・って言われているけど、俺には理解できない」


「・・・・は?」
僕には近藤の言っている意味が理解できない。今何て言った?



「俺は、莉央の何処が綺麗で、どのへんが魅力的なのか理解出来ない。男の癖に細いし肌とか白すぎてモヤシみたいだし、その黒髪もトイレの花子さんみたいだし、性格に至っては俺の勝手なイメージだけど凄く悪そう。性格ブスってやつ?よく男に褒められて謙遜とかしてるじゃん?あれとかわざとらしくて見てて気持ち悪い」


近藤は悪びれる様子も無くヘラヘラと、この僕に対して暴言を吐きまくる。
語尾は笑っちゃって、きちんと発音出来てなかったし、この僕を気持ち悪いって言った?
バカにしてる!?


「その髪型も何?ギャグ?ねぇ、ギャグなの?男の癖にオカッパとかありえねぇーし。かなりウケるわ!」

ケタケタと下品に笑いながら僕に指を刺して笑っている。
僕は始めての経験に戸惑ってしまう。

「この髪型は母様の趣味です。僕に一番似合っていると親族皆、言ってくれるのだけど・・・」
どうして良いのか分からず、僕は普通に答えてしまった。

「うわぁ〜、おまけにマザコン?莉央って超キモイね」

何だコイツは!?この僕に対して何て暴言を吐くんだ?!
こんな屈辱的な言葉を言われたのは産まれて初めてだ!

あまりの憤りに声も出ない。


「あっ!喧嘩売ってる訳じゃないから怒らないでね。…怒っても良いけど!喧嘩になっても体格からして俺が圧勝するから別に構わない。ハハハッ!」

そんなに笑って何が面白い?

「・・・」

僕は生まれて一度だって人に対して強い感情を持つ事は有りませんでした。
基本的に僕には僕がいればそれでいい訳で、他人に興味を持つ事も多分無かったと思う。
僕は特別、他人はどうでも良い存在。下らない。


だが、何だ?この腹から沸沸と煮えたぎるような感覚・・・殺意?
それと同時に胸が痛く、少し眩暈がする・・・これが『傷つく』という感覚?

産まれて初めて面と向かって悪口を言われた。



「笑ったらお腹空いたなぁ。莉央も空かない?売店行こうぜ!」

何故僕がコイツと行動を共にしなくてはならない?冗談じゃない、行きたいなら一人で逝け。

“行け”では無く、ここはあえて“逝け”という願いを込める。
この僕に対して暴言を吐いたんだ。死刑にされてもおかしくない。

その暴言の数々、死んで悔やむがいい!

だが僕は心情を悟られない様に、綺麗に微笑んで、立ち上がった奴を見上げた。

「いや・・・僕はココに残るよ、近藤君売店逝って来なよ」

「そっか、じゃあ〜またなぁ」


近藤はそれだけ言ってこの場を去った。

また?

・・・出来れば二度と会いたくない。
しかし、奴とは同じクラス・・・、そう思うだけで胸のあたりからモヤモヤした黒い何かが渦巻くような感覚がする。

こんな感覚は初めてだ。実に不愉快



僕は裕福な家庭に生まれ、美しく育ち、老若男女問わず数多の人に愛され可愛がられて心身ともに何不自由なくこの17年間生きてきた。






人生17年目にして始めて、本気で人を嫌いになった。

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あきゅろす。
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