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気が付くと昼休みは終わって5時限目が始まっていた。
僕は近くにあった大木の根の間に腰を下ろし、この時間はここで過ごし6時限目から授業に出ることにした。
クソッ!あいつのせいで1時限無駄になったじゃないか!
普段授業など殆ど聞いていないが、他人にペースを乱されるのはムカつく。
僕は目を閉じ深呼吸をして気をまぎらわす。
――――ーすると
「あまみや・・・・りお・?君だよね?」
僕の上の方から声がした。
学園の美貌の象徴で有る僕の名前をうろ覚えだと?
ふざけた奴もいるものだ。
僕は瞼を開け、声のした方に視線を向けると、僕のもたれていた木の上、太い枝の上にうつ伏せで僕を見下ろす男子生徒がいた。
「正解、僕は天宮莉央、2年生。君は?」
別に興味は無いが話の流れで聞いてやるか。
本当ならシカトしてやりたい所だが、常に猫かぶりな僕はそんな事しない。
彼はニコッ!と満面の笑みを浮かべ軽やかに木から飛び降り僕の真正面に胡坐をかいて座った。
「俺は近藤一輝!ひどいなぁ〜今年から同じクラスなのに知らないの?イッキーって呼んでいいよ」
随分と馴れ馴れしい奴だ。
あぁ、この時間は木々や若葉達に囲まれ穏やかに時間を過ごす予定だったのに、本当に面倒な奴に話しかけられたものだ。
イッキー??バカじゃないか?この僕が呼ぶわけ無いだろう。
「その呼び名は遠慮するよ。・・・すまない近藤君、5月も中旬なのに僕はまだクラスメイトの名前、ほとんど覚えていないんだ」
苗字だけとは言え、この僕の小さく桜色に艶めく可愛らしい唇から名前を呼んでやったんだ、感謝したまえ!
「ふーん」
近藤は少しだけ相槌をして僕の顔を無言で見つめた。
僕もこれ以上とくに話す事も無いので黙って近藤を見ていた。
よく見たら近藤は整った顔をしていた。
程よく日に焼けた肌に切れ長の目、鼻筋もスッと通っていて僕とは系統が違うタイプ。健康的で男らしいく端整だ。
・・・・それにしても、見すぎだ。
いくら僕が美しく、人から見惚れ慣れしてるとはいえ、こんな至近距離から全く視線を外すことなく見られるのも心地が悪い。
適当に当たり障りの無い会話をした後この場を去ってしまおう。
「近藤君ってカッコイイね。女子にモテるでしょう?」
「うん、かなり」
何だコイツ!
謙遜とかしないのか?しかも全く表情を変えずに言ってのけた!
この僕が褒めてやってるんだぞ?少しは驚くなり謙遜するなり感謝したりするだろう普通。
「莉央はさ、男にモテるでしょう?」
おいいいいいっ!いきなり僕の事を呼び捨てにしやがった!しかも苗字では無く下の名前、何なんだコイツは!!いい加減ウザイ。
「あ、ああ。何故か僕は同姓からよく告白されるんだ・・・。」
「何故かって・・・それは莉央が、とても美しく綺麗でいて皆にも優しくて、外見も中身も素晴らしい存在だから・・・」
何だ、解ってるじゃないか。近藤も僕の下僕に加えてやっても良いかな。
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