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虹色スコア
4話:出会
後日、授業が終わり帰りの準備をしていると、愛菜が私の席まで走ってきた。そんなに忙しいでどうしたんだろう?
「優羽!今からウチの家に来て!」
腕を強く掴まれる。愛菜はやけに真剣な表情をしていた。
「え、い、いきなりどうしたの!?」
「いいから!!」
「ちょ、ちょっと〜!?」
腕を引かれ、半ば強引に教室を後にした。
…そしてまた20分後には愛菜の家の前にいた。先日と同じように背中を押されながら部屋に行き、ソファに座った。そして愛菜が私の前にパソコンを置き、隣に座る。
「今日はなに…?」
「コレ、見て!!」
そう言うと愛菜はパソコンを起動し、動画投稿サイトのランキングのページを開く。そして、1位を指差した。
「…!?これ、この間愛菜が投稿したやつ?」
あまりのことに一瞬理解が出来ず、硬直してしまう。
「そう!そうなんだよぉ〜!!」
「え、本当だよね?嘘じゃないんだよね?」
「本当本当!ランキングは嘘付かない!」
「おぉ〜!やった!やったね!さすが愛菜!!」
「ありがとう〜!しかも、コレ、見てよ〜!」
今度は3位を指す。どうやらタイトルからして愛菜の曲を歌ったもののようだ。
「こうやってウチの曲を歌ってくれる人がたくさんいるんだ〜!作ったかいがあったよぉ!んでね、1番気に入ってるのがコレ!!」
と言い、別の動画をクリックする。歌ってうるのは…尽人…ジントさん?という人のようだ。愛菜が再生ボタンをクリックした。今はもう聞き慣れた前奏が聞こえてくる。そして、歌が始まる。その歌声は女性なのか男性なのか判断出来なかった。女性なのかと思えば力強い男性的な歌い方をしたり…。とにかく不思議な歌声だ。しかし、HNからすると男性なのだろう。コーラスが愛菜が入れたもの意外にも入ってる…。台詞もあるっ!?
すごい…。すごいすごいっ!
私はどんどん聞き入っていた。そしてあっという間に曲が終わった。
「愛菜っ!尽人さんすごいね!」
でしょ!?ウチの歌をここまで歌い切るとは彼ただ者じゃありませんなぁ〜」
「あ、愛菜っ…く、口調…っ」
私は愛菜が珍しく変えた口調に笑いをこらえきれず笑ってしまった。
「でも彼、本当にすごいよ〜。ウチが完璧にした曲を更に完璧にしたんだもん。」
多分この言葉だけ聞いた人はなにこの自信家っ!?って思うんだろうなぁ…。
「ねぇー作者。全部聞こえてるんだからねぇ〜…?」
な、なに!?聞こえている…っ、だとっ!?
「???どうしたの、愛菜。いきなり上向いて喋って」
「うんにゃ、なんでもないよ〜。気にしないで〜。」
「え…う、うん。わかった…?」
…全て聞こえていたとは…。誤算…。というのは放っておいて…。ふと愛菜が優羽に目をやると、顎に手をあて、何か考えているようだった。
「どうした?優羽?」
「ん?あぁ、いや、なんか…。尽人さんの声、どこかで聞いたことのある声のような気がして…」
「マジ?思い出せない?」
「うーん…。駄目だ、思い出せないや」
「そかそか。思い出せたら教えてぇ〜。」
「うん、わかった」
こうして、長いようで短いような1日が終わった。
優羽が声の正体を知るのはまだ先のことである。

優羽。優羽がわかったって言った時、自分がどういう表情してたか、知ってる?
あの時、優羽はすごく優しく微笑んでいたんだよ。今思うとーーーくんのこと考えてたからなんだよね。ウチ、あの時あの歌を聞かせていて本当に良かったって思うんだ。あぁ、優羽はどんどんウチの先を越していくよね。でも、後悔はしてないんだ。今の優羽もーーーくんも、すごく楽しそうなんだもん。まったく…優羽にだけは負けるよ。
優羽とーーーくんがいつまでも一緒にいられたらなぁ、って、最近よく思うんだ。ーーーくんほと優羽にふさわしい人はいないと思うんだけどなぁ。ねぇ、優羽!もう少しだけでいいから勇気出して!ウチはずっと優羽の一番近くで応援してるよ!



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あきゅろす。
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