私達は立つ!
新化、進化。
睨み合い、また沈黙が落ちる。だが、遠くで動きが聞こえた。森の中をバラバラに探す子供たちの声が。おやまぁ、と十字傷がにんまりと弧を描いて音の方角を見た。
「幸ちゃん!」
「また、新たな代の子供たちですか。」
この目の前のヴァンデモンが私達の時代から来た1992年のヴァンデモンなら狙う目的は一つ。子供たちの抹殺だ。狙う先はどこだと、睨みつけた刹那。
「幸ちゃん!」
木影から出た少年二人にヴァンデモンが牙を向いた。彼らのデジモンだって幼少期だ、叶うはずがないのが分かって走り出した。
「呼出武器-メイクアップ・ウエポン-空広がる風音の盾!」
突き飛ばした先に優しい風の塊を放つ。人間では出来ない技量は、今になって嘆くべきか喜ぶべきか悩むが、そんなところでない。
迫り来る猛攻を紙一重で避けて、子供たちとヴァンデモンの間に立つ。
「私は、お前たちを守るために戦っていいのか?」
「匹野さん。」
「勿論だぜ!だから、俺達も幸を守るために戦う、」
「嫌だ。これは私達のけじめだ。ここで、ケリをつける。」
ただ約束してくれればいい。言ってくれるだけでいい。ただ一言たったのいくつかのを。信じる。待ってる。と、覚えているよ。と言ってくれるだけで。
「信じてくれることが、」
信じてくれることが、糧となりの知識や友情になると信じて、純真な愛情のような誠実さが生まれて、最後に残った戦うための優しい勇気の光になる。それが私の持つべき希望だ!。
腰元についた白く四角のデジヴァイスが光を放ち、光の柱が立ち上る。眩しい夜の光はは太陽のように、揺らめいて、視界を奪う。光はすぐに収まり、幸は新たな姿に進化した。
「ロップモン進化っ。ラヴィモン。」
ウサギを模したブーツと尻尾付きのマントと茶色の甲冑。真っ黒のゴーグルと兎の耳、兎マークが入ったガントレット。
のんびりしているウサギの種族と思えないほどの武装化に幸はびっくりした。
抱いた希望は消える気配は無く、減る気配もない。これが、望んだ正しい進化の仕方なんだろう、この進化は、昔求めていた進化、今更になって出きるなんて。
「姿が変わっただけであろう。捻り潰してくれる。」
「貼付武器-ディッファー・ウエポン-空割る風の槍。」
新化、進化。
(弱い私はもういるはずがない)(さぁ、終わろうか。ヴァンデモン)
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