短編。 1/2 11月23日。 毎年、ガロンの様子がおかしくなる。 妙にそわそわしてる。というか、なんというか、いつもなら、「きゃー!バレルゥ!」だとか、ジルにやたらといらない茶々を入れたりしているが、今日はやたら大人しい。因みに去年は、人二倍うるさかった。 ひたすらに、潰れたPETを見つめている。 「な、ガロン。」 「ん?」 過去に戻れるならば、いつに戻りたい? 奴の柄にもない発言に、隣でコーヒーを飲んでいたジルも吹き出した。 「兄さん、コイツ熱でもあるの?」 「気にするな、ジル、ただの食あたりだ」 「あ、あぁ、食あたりね。」 ふーん。といいたげな、ジルは、目線はコーヒーに向いてるが、ガロンに興味を示しているのが、ありありとわかる。 「カレンダーに花丸書いても食あたりになりたかったのね。ただのバカだわ」 ソファーで寛ぐジルが興味なさげに光学士のレポートを、投げ捨てた。学士レポートを丸ごと覚えしている彼女だからこそ、奇怪な行動であったが、そう言われてやっと気がついた。 「バレル、あいつの誕生日だぞー。」 PETの中のナビは、よく知っている、流石は光 の作ったナビだと、今更バレルは、痛感した。無駄な知識ばっかりどこから仕入れて来たんだか。 「馬鹿兄貴のために一肌脱ぐか。」 なににしようかと考えてみたが浮かばず、問いかけてみた。するとニンマリとナビが笑う。 「聞きたい?聞きたい?」 「うわぁ、ジル妹はとってもナビリズムちゃんの案を聞きたいなぁ!」 バレルの手から、見事に奪い取り口元あたりをPETで仰ぐ。もう、こうなったら後へも前にも進めずに、ただジルの話を聞くしかないのであった。 「んで、どんな話だ?」 「え、決まってるじゃない!」 その顔には無理やり笑顔が張り付けられていた。 [次へ#] |