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ベヒーモスの野生種に手榴弾を投げる。
辺境の討伐作戦やガプラ樹林で、この程度で死ぬような生易しい代物でないことなど承知している。だが、足止めでいい。爆音を聞きつけて、市民に被害が及ぶ前に小隊ひとつでも到着すれば――

「格好つけすぎですよ」
爆風は感じなかった。
かわりに突き飛ばされ、見上げたのは翻る黒い軍服。
「ヴィリ?!」
遅れてシールドの向こうへベヒーモスが吹き飛ぶ。
「兄さんは無茶ばっかり」
「ハル、なぜここに」
警備軍の白い軍服が風にあおられる。
「市民救助を優先するためにも、指揮官が必要です。それに。多分忘れてるんじゃないかと思いますけど、兄さんも市民ですよ」
「――すまない」
ケアル・ギアを二人が使う。
「後味悪いんですよね。あんな格好いい命令、じゃない、希望を言われたあと自爆とか。俺たち結婚するんでそれまで生きててもらわないと」
「すまな……は?」
今何を聞いた?
「あ、シールド切れそうですね。ヴィリ君、ダルお願いします。兄さん、お先に」
「ハルはヘイスト頼むね。そういうことでこれから義兄さんって呼ばせてもらいます。それじゃ、俺射撃苦手だからドカンとお願いします。ベヒーモス」

「どうなっている!?」
エンハンサー効果を目一杯受け、ジャマー効果で手も足も出なくなっているベヒーモス二頭を叩きのめしながら私は叫んだ。

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