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ちゅ。
「な」
もう一度、ちゅ。
「ハル、一体何を」
「何って…挨拶です。ヴィリ君に教えてもらって。兄さん、顔が赤いんですけど大丈夫ですか?」
大丈夫かと聞かれれば精神的に全く大丈夫ではないのだがさすがに妹にそんなことは言えない。
咳払いをする。
「いや、問題ない。……挨拶?」
「ええ、ヴィリ君が育ったところだと挨拶をこうするんだそうです。こう」
右頬に。
「それから」
左頬。
「ぎゅっ!」
抱きつかれる。
「ちょっとびっくりしましたけど、家族とか親しい人にするものだそうですし、慣れたらいいなって。……兄さん?兄さん?」
そうか、身内にするものなのか。しかしハル、兄妹とはいえお互いいい年なのだから公衆の面前ではまずいのではなかろうか。そしてヴィリに教えられたというがあの従弟と接触が多いのは昔からの習慣によるものだったのか。ああやはり離れている間に色々あったんだな。そういうことなら。
「ああすまない。ええと、挨拶されたなら私も返すべきだろうな」
「はい!」


「……かわいい」
セイレーン公園の片隅で従兄妹たちを遠目に見てガッツポーズをする。心の中で。教えて良かった。
「にやけすぎよ」
「うわ!?」
振り返ると上官がいた。
「まあ確かに、かわいいけれど。あなたが教えたんでしょう」
「よく、おわかりで」
「あれ私の出身地でもするのよ。もっともかなり年配の世代にしか残っていないけれど。……わざわざ調べて教えたんでしょう?」
「……イエス、マム」
図星だ。
「ちょっと私も挨拶してこようかしら。うちだと頬だけじゃなくて唇にもするのよね」
「そんな!」
そんなおいしい…違う。従兄妹たちの危機だ!
「ああでも私今辛いものが食べたいのよね。先週モールにオープンしたメキシカンのハラペーニョ、おいしそうだったわ」
「……買ってきます」
「あらいいのよ?私店で食べたいし」
「予約取りますから!」
「そう?嬉しいわ」
……にっこりと笑う上官のもと、今月の財布がハラペーニョモードに確定した。


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あきゅろす。
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