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恋愛性ショック
私、独りに憧れてるの、


といったから、許してあげた。

付き合わなくても死ぬわけじゃない。


でも、独りでいないと死ぬような子も居る。


わがまま言ってごめん。


好かれたいのは僕だけなんだ。


僕が、好かれたいのは

目立ちたいから。

いいひとに、見えるから。


人を好きになれるだけで


どんな悪人でも、良い人に見えるんだ。

だから、きみを使って

いい人になろうと思った。

あと目立ちたいから。



恋なんて、気持ち悪いのにね。

 好かれたくない、好かれたくない、そう言って、きみは
壊れていった。


貰うこと、嫌い。

遊ぶこと、嫌い。

笑うこと、嫌い。


好かれることも、嫌い。


感情処理が出来ないのに、無理して、腕に包丁を突き立てながら笑って、

「私も好き」 って、精一杯言ってたね。

演技が気に入らなくて、好きなのかと問いただしてごめん。



きみが 持ってないもの

持ってるかどうかわざわざ改めて問いただして責め立てた。

好きなのか、
なんて別にどうでも良いことなのに。

無理矢理の笑顔さえ、
本物かどうかばかりこだわって崩して、責めてしまった。

本物かどうかなんて別にどうでも良いことなのに。


きみは包丁で、また指を切った。たくさん血が出ていた。

ごめんね。

愛されたいという気持ちが、
きみを苦しめているのに。

冷たい!


強く言い放った。
きみが変わってくれると思ったんだ。
好きになってくれると。

次の日、
 首を括ろうとしていた。




きみにないものを問い詰めて
追い詰めた僕は、
きみにないものをまた問い詰めて、さらに追い込んだ。

そこまでして、好かれて、なんの意味があったんだろう?


きみは、やっぱり笑顔を見せながら「頑張るから」と言った。


 恋愛雑誌を差し入れた。

『恋ができないきみへ』

『明日から変われる』


『気持ちから逃げないで』


『誰にでもできるよ、恋』
 きみは、叫んでいた。
苦しそうに、もがいていた。
変わるチャンスを、感じてくれたと思った。
今日も叫んでいる。


 きみの知り合いと付き合うことにしてみた。
モヤモヤから、恋を気づくのが少女漫画だ。

 帰ってくると、きみは沢山の睡眠薬を飲もうとしていた。
ただ無表情だった。
僕は混乱して、君を叩いた。
ただ、それだけだった。
あれから
きみは、動かなくなった。

空を見つめたまま、死んだように固まっている。



 否定し、理解出来ないと言ってさんざん貶し、雑誌とかで見下されたと思わせて、最後に、突き放した。これはたったそれだけの『俺』の話。

「一人でいいんだよ」



追い詰めてごめんなさい。

きみが、一番、笑顔になれるのは、独りなんだね。
だから、ドアの向こうから、そう言った。


 きみは、ある日ふと目覚めた。
そして、ぼんやりした目をしながら、微笑んだ。
「私――独りに憧れてるの!」



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あきゅろす。
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