オレンジの涙
笑顔
「あの人はね、ディーノさんって言うんだよ」
知り合いだったんだ…
なんか悪かったかなぁ……。
何となく、後から来る罪悪感に襲われていた。
「大丈夫だょさくら」
そんなあたしを見かねたのか、ツナが優しく言ってくれた。
「ほんとに……??」
「うんっ!!それより母さんが呼んでたよ??」
……忘れてた!!
「美味しいの作るから待ってて??」
そう言ってパタパタ台所へと向かった。
「さくらはお転婆なんだから♪」
なんてツナが言ったことは、気づくわけもなかった。
気づけば、もうすぐケーキの土台であるスポンジが焼き上がる。
その時ちょうど、ディーノさん?が通りかかった。
「あの…さっきはすみませんでした……」
俯いてしまったが、その時に一瞬見えたディーノの、あの見開いた目…。
あたし…また何かやらかした??
「さっきの事は気にしなくていいよ。それより、何か作ってだだろう??」
「あっ…ケーキです♪生クリームとチョコレートどちらか好きですか??」
そう言うと、目を輝かせて生クリームの方がいいと言った。
あたしはその笑顔を見て、不覚にもカッコイイと思ってしまった。
……気のせいだよ
そう思うことにして、あたしは台所へと戻った。
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