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< 恋する背中 >
A necessary lie is harmless.
必要な嘘を嘘とは呼ばないなら。
―――――人間は一生に一度も嘘をつくことがないのだろうか。
――――ずっと憧れている人がいた。
顔を見ているだけで幸せで。
声を聞くだけで幸せで。
彼を見つめる羨望の眼差しはとても多いから。
―――ずっと諦めていた。
「――――――好きです」
放課後の廊下で目的の人を見つけた河野真咲(こうのまさき)は必死に目の前の男の瞳を見つめた。
―――――ヒュ―――。
眉を上げて口笛を吹くその様子が様になる色男はじっと真咲の瞳を覗きこむ。
「――――――付き合ってもらえませんか?」
勇気を振り絞ったその声にブレはなかったが、足は密かに震えていた。
―――――河野真咲にはずっと恋焦がれる背中がある。
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