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< 幕開け >



豪華なスウィートルームに足を踏み入れた要は、案の定、そこに3人の人物を見つけた。

ソファで足を組んで座っている新橋恭平、その隣で整然としている柳竜也、そして窓の傍でうろうろと歩いている吾妻庄治。そこへ、先ほどの青年、篠崎祐一を入れれば、緋来の4役が全て揃う。


要は殊更ゆっくりと室内を進み、空いている席、すなわち恭平の対面に立った。

四方から飛んでくる鋭い視線など、彼には痛くも痒くもない。緊迫した室内を煽るように嘲笑して恭平に問うた。


「――――それで、私がここに座っても良いのだろうか?」


要を“訪ねる”のではなく、“連れて来た”ことに対しての皮肉に、へらへらとした恭平の顔が一瞬、本性を垣間見せた。他の庄治や祐一にも緊張が走る。おそらく、この一撃で彼らが要に対して下手に出ることはないだろう。要は心の中で密やかに笑った。




――――そうでなければ、おもしろくもない。




「どうぞ、どうぞ、御勝手に」

かつて日本の“昼夜”を支配した大御所から、4神、青竜をその地位の証に受けたという新橋恭平は、4神の中ではリーダー的役どころを担っているという。

なるほど他の3人よりは落ち着いている。要は優雅にソファに腰掛けると、ゆっくりと足を組んだ。


しばらく沈黙が部屋に重く圧し掛かっていたが、要は気にかけずにシガレットケースを取り出した。




――――“果報は寝て待て”というではないか。







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あきゅろす。
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