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< 花の命 >
ねぇ、『花壇』にね。
皆で『種』を蒔いたんだ。
お水をたくさんあげたから。
それはそれは『大きな花』が咲いたのに。
『花』はあっという間に小さくしぼんでしまうんだ。
『花』はあっという間にその存在を忘れられてしまうんだ。
「―――やっぱり紺野様が一番素敵だ。あの品のある物腰たまらない〜!」
「何言ってんの、紙屋様のあの男らしさが一番でしょ!?」
「マイノリティーは黙ってて!一番はあの真田様に決まってる!あの冷たさが最高」
「ドMが!卓様を差し置いて馬鹿言わないでよ。あの笑顔で話しかけられたら僕は死ぬ」
「ああ馬鹿!!3K1S様とお近づきになれるなら僕は誰も選ばない。むしろ選べない!!」
「確かに〜〜!!!」
―――本日も晴天なり。
4階の外階段の踊り場からは今日も晴れ渡る空がよく見える。
ぼーっと空を見上げていた神崎卓は件の転校生が去った後の平和な学園に紫煙を吐き出した。
「――命短し恋せよ乙女」
ねぇ、花盛りはとても短いから。
だから、精一杯輝きましょう。
―――それは3階の生徒に対しての言葉だったのか、それとも消えてしまった転校生に対してのものだったのか、それは言葉にした卓にもわからない。
ただふっと思い浮かんだ言の葉を風に乗せて囁いてみたくなったのだ。
―――あの風紀まで巻き込んで暴力事件を起こした転校生がその責任を取る形であっさりこの学園を去ってから一月。
卓にわかっているのはこの学園がまたつまらない"日常"を取り戻したということだけだ。
「―――諸行無常ってね」
それはそれは『大きな花』が咲いたのに。
なくなればすぐに他の花が取って代わるんだ。
―――だけど、世の中とはそう言うものなんだ。
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