[携帯モード] [URL送信]



「……そだ、ケー番交換しようぜ。何かあったら呼べよ、力になる」

「ぇ、あ、ありがとうございます」

「ところで…大志は何やってんだ?特進科のBだろ?」

「……え、」


 僕は先輩を見つめたまま足を止めてしまった。いつかは聞かれると思った質問だけれど、まだ答えを用意してなかったんだ。
 正直にいうべきか口を開いて閉じてを繰り返していたら、頭の上に重みがかかった。
 見なくても分かる、これは先輩の手だ。どうやら僕は、翼先輩に気を使わせてしまったらしい。


「俺はここの3階だ」

「っあ、僕も、です」

「お、マジか!何号室だ?」


 深く聞いてこない先輩に感謝をし、部屋番を教える。
 それが偶然なのか、翼先輩は僕と真逆の部屋らしい。距離は遠いが、なぜか親近感が湧いた。
 驚きつつも、2人で笑いあったんだ。そして僕たちはエレベーターの前で別れた。
 最後に、暇なとき部屋に遊びに来いよと誘われて。

 男の僕から見ても笑顔がかっこよくて、人懐っこそう…というか面倒見のいい翼先輩。
 昨日の未來先輩といい、美形が多い上にみんな優しくて、僕はいい人たちに出会えたみたいだ。
 いつまで僕を僕だと隠し続けれるか分からないけれど、今を楽しもう、本気でそう思えた。



[*前へ][次へ#]

30/121ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!