、
「……そだ、ケー番交換しようぜ。何かあったら呼べよ、力になる」
「ぇ、あ、ありがとうございます」
「ところで…大志は何やってんだ?特進科のBだろ?」
「……え、」
僕は先輩を見つめたまま足を止めてしまった。いつかは聞かれると思った質問だけれど、まだ答えを用意してなかったんだ。
正直にいうべきか口を開いて閉じてを繰り返していたら、頭の上に重みがかかった。
見なくても分かる、これは先輩の手だ。どうやら僕は、翼先輩に気を使わせてしまったらしい。
「俺はここの3階だ」
「っあ、僕も、です」
「お、マジか!何号室だ?」
深く聞いてこない先輩に感謝をし、部屋番を教える。
それが偶然なのか、翼先輩は僕と真逆の部屋らしい。距離は遠いが、なぜか親近感が湧いた。
驚きつつも、2人で笑いあったんだ。そして僕たちはエレベーターの前で別れた。
最後に、暇なとき部屋に遊びに来いよと誘われて。
男の僕から見ても笑顔がかっこよくて、人懐っこそう…というか面倒見のいい翼先輩。
昨日の未來先輩といい、美形が多い上にみんな優しくて、僕はいい人たちに出会えたみたいだ。
いつまで僕を僕だと隠し続けれるか分からないけれど、今を楽しもう、本気でそう思えた。
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