、 「それもそうだね。あとは本かな?」 「……あ、これはこのままで大丈夫です」 「そう?でもせっかく本棚あるし…入れるだけ入れてみない?」 「あー…うー…じゃあちょっとだけ…」 「ふふ、うん。本もその方が喜ぶよ」 …あ、なんて綺麗な笑顔なんだろう。それにこの人は、きっと本が好きだ。 この部屋には小さいが備え付けの本棚がある。それがもったいない、ではなく本が喜ぶ…なんて本好きの人の言い方だ。 少し嬉しくなって手近なところにあるものを片すことにした。 この図鑑類は一番下の段に。それをしまいながらふと未來先輩を見て、僕の思考は止まってしまった。 いけない、彼が荷解きしているのは僕の本たちだ…! 「……あれ?この本…」 「あっ…それ、は…」 「……うん、やっぱりそうだ。星大の本だね」 細く長い綺麗な指が僕の本をめくる。キラキラした黒い目が、僕の字を追っていく。 ああ、どうしてだろう。その姿に惹きつけられる。顔に熱が溜まってしまう。 僕はそれを目の前で見られて恥ずかしいからと解釈し、多分赤くなってしまった顔を隠すために俯いた。 ついでに熱を冷まそうと手で顔をあおってみる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |