、
返事はしたけれど、畏まるなという方がムリだ。
荷物の散乱した部屋に、バンダナで綺麗な髪をひとまとめにした未來先輩がいる。これは異様な光景だ。
蛾の中に鮮やかな蝶が混ざっているような。
僕はまた彼に見とれてしまい、それにカツを入れ片付けを再開した。
大量に持ってきたハンガーに服をかけ、クローゼットの中へ適当にしまっていく。下着の入った箱を未來先輩に見られたときは、いいようのない恥辱に襲われてしまった。
◆
「ふぅ…」
「結構片付いたね。荷物も種類としては少ない方だよね…?」
「え、あ、そうかもしれないです」
僕の荷物を大まかに分けると、服、本、食器類、歯ブラシなどの日用品といったところだ。
アクセサリーなんて煌びやかなものは僕と無縁だし、漫画を読まないからキャラクター商品を買うこともない。小物なんてなおさらだ。
この年にしては少しつまらない部屋だろうか?
「綺麗に片付いてて羨ましいよ」
「そんな、今片付けたばかりだからですよっ!」
事実僕の前の部屋は本で溢れたまま片付けることはなかった。
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