、 僕は助かった、と内心息を吐いた。あんな複雑なもの僕に出来るわけがない。自他共に認める、アナログ人間なのだ。 だからすぐ終わったその設定に、ただ感心するだけとなった。 そして全てを運び終わったこの人たちは、次があるからと帰っていった。 新しい部屋に、僕一人。 1LDK、トイレ、ユニットバス付き。1人暮らしをするには十分すぎる広さで、オマケに綺麗で学生向けに安い。日のあたりもいい。 僕はこの部屋に満足し、大きく頷いてから片付けを始めることにした。 「やっぱり寝室からかな…」 寝る場所を確保しなければいけない。僕は気合いを入れるため腕捲りをし、バンダナをつけて近くにあった箱を開けた。 そこにあるのは新聞紙に包まれた何か、食器類。違う、そう呟いて次の箱を開ける。そこには服が入っていた。 まずはこれから進めていこう。 ──ピンポーン 突如部屋に鳴り響いたチャイム。ハンガーを探していた手を止め、玄関の方を見た。 ──ピンポーンッ 「………あ、やっぱり僕の部屋か」 [*前へ][次へ#] [戻る] |