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「あ……いけやせん、忘れるとこでした……うーづきっ」


「あっ、……ああ、どうした?」


「……卒業、おめでと。真っ赤な卯月が見れなくなるのはちょっと寂しいけど、また会えるよねっ?」



 きゅう、と正面からふんわり抱きついて、上目遣い気味にそんなことを。

 その瞳はいつものものではなく、少しの寂しさが滲み出ていて…、





 ……不覚にも卯月、同じ人に2度目の恋にオチました。



「雨音…っ!」


「んっ!?っ…んー、ン…ふ、はっ……ぅ、ちゃ…んっ」


「っ…は、会えるに決まってる。……お前が呼べば、駆けつけてやる」


「はぁっ、…はン…へへ、うーちゃんと会えて良かったよ!じゃーね」


「……ああ…お前は、そのままでいろよ…」



 きっと、どんなに欲しても雨音は手に入らない。けれどそれでいいのだ。
 周りが恋い焦がれているのは、そんな雨音なのだから。


 キスをしたのに、これでサヨナラだというのにあっさり帰っていく雨音に、卯月は見たこともないほど嬉しそうな顔と優しい瞳を浮かべていた…。

 ……まぁ、そんな卯月を見て三春はキメェといいながら帰っちゃうんだけど。



 そして卯月が学園を去って一週間後、会いにきてという雨音のためにまた戻ってくることになるのだ。

 つか、月2ペースで呼ばれちゃうのだ。




 お疲れ卯月!
 110814.完

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あきゅろす。
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