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─冬樹side─
あの人は、声をかけてからなぜか横に座るようになった。
別に待ってんだからそれで普通だと思う。
でもなぜか、
その人が座るのを確認する俺がいた。
そして今日、連れ出された。
引っ張られた腕と首が苦しかったけど、殺されるわけじゃなさそうだったから。
何かシカトとか言ってたけど、
そこらへんはよく分からない。
まぁどうでもいいから気に留めなかったけど。
そしたらあの人、
朱雀っていうんだってさ。
なんでそんなに名前聞きたがるかな…。
「あら冬樹、今日はちょっと遅かったわね。それに見当たらなかったけど…」
「別に。外にいただけ」
「まぁ外!?そう…それはいいことだわ」
「そう、良かったね」
中にいても外にいても、
何かが変わる訳じゃないのに。
もうすぐ死ぬんだから、
どこにいても同じじゃん。
「なら時間が分からないものね。明日腕時計を持ってくるわ」
「うん」
そんなもの、いらないのに。
だって………
あの人と会う予定はないんだから。
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