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蒼は笑いを堪えながらその様子を撮影していく。そして、ポン、と爆弾には似つかない可愛らしい音がして。
『……え…?』
『あ、あれ?爆発…しない?』
『ちょ、これっ』
「ハイハーイ、"ドッキリ大成功ー!" ってネ」
『なんだよぉぉ…っ』
びっくり箱の中に入っているような人をバカにした顔の人形が、【ドッキリ大成功】と書かれた紙を持ってゆらゆら揺れていた。
偽物だと分かった瞬間のみんなの脱力感。それもバッチリ納め、その爆弾へ近づく2人を撮影する。朋也がひょい、と拾い上げ、クスリと笑みを浮かべて一言。
「気持ちいいくらいに引っかかって下さり、ありがとうございました」
「…そもそも本物だったら伏せてもダメだろ」
「あははっ、でもパニクってたらやっちゃうって」
「クク、…んじゃ、次の場所いくぞ」
「うあっ、…え、ぶちょ、手!」
(こ、これもドッキリの1つか何か…!?///)
パシ、と手をとられ、そのまま次の場所へ移動を始める豊に蒼は顔を真っ赤にして焦りを見せた。
しかし豊は離す気配もなく、ドキドキと心臓だけがどんどんうるさく音をたてていく。手汗もかいてるかもしれない。この音も聞こえているかも。真っ赤になっているのだって知っていて、からかわれているのかも。
…でも。
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