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「ちょうどコーラが飲みたかったんだよ。文句あんのか」
「っ…ない、全然ない!ありがとう部長」
(うわぁあ部長優しすぎ!)
本当にコーラを求めていたかは分からないが、蒼がお茶がよかったと聞いてわざわざ交換してくれたのだろう。その気遣いが嬉しい。心臓が、バクバクと激しく鼓動する。
「おい、部室戻っぞ」
「あ、うん!…これ見たら橋爪先輩うるさそうだよな」
「ほっとけ」
「はは。…じゃ、いただきます」
「ククッ、別に奢りじゃねぇだろうが」
クツクツとおかしそうに笑う豊のかっこよさに、蒼は耳をほんのり赤くした。膨れ上がっていくこの気持ち。もう、止めることは出来ない。
2人が部室に戻った際そんな少し照れたような蒼を見て、幸作が少しだけツラそうに目をそらしたことに、気づいた者はいただろうか?
◆
「分かってるとは思うが、…もうじき創立祭だ」
「正確にはあと54日だな」
「クラスの方はもうどこも準備してますしね、忘れようがないですよ」
「全然そのことについていわねぇから、部活は不参加かと思ってたわ俺」
「おれも」
もうクラスでは何をやりたいか決め、それぞれが動き出している。というのになぜ今更創立祭の話を持ち出すというのか。
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