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凄い歓声の中を堂々と歩く幼なじみを見てたら、パチ、と目が合って微笑んでくれた。
僕も笑い返したけど、周りが騒ぎ立てたせいで見えなかったかも。
さっきまで見えてた他の役員の人も、親衛隊とかファンの人に囲まれて見えなくなっちゃったし。
『あーあー羨ましいぜ鈴代。あーんなかっこいいい幼なじみがいるなんてさぁ』
『俺も俺も。役員にダチいるとかすげー自慢だよな』
「そ、そんな、役員だからお友達ってわけじゃないんだよっ?」
『でも…』
『『憧れるよなー』』
それに僕は、苦笑いを浮かべることしか出来なかった。
顔がいいだけで崇拝されて、おまけに友達なのが羨ましい…って。なら、ちゃんと友達になればいいのに。
心からそう思ってくれてる人を、邪険にしたりしないのに。
顔がいいから。
役員だから。
…それだけの理由で友達になりたいと思うなんて、どうかしてると思う。ずっとそう思ってきたけど…ここでうまくやっていくには、いえないんだよね…。
はぁ…そういう僕も、友達!って胸張っていえる友達、いないんだけど…。
◆
「んー…あとは盛り付けて完成、っと」
僕の得意なことは2つ。
1つ目は勉強。
得意っていうか、幼なじみと一緒に勉強してきてたから、自然と身についてくれたみたい。
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