2 凄い歓声の中を堂々と歩く幼なじみを見てたら、パチ、と目が合って微笑んでくれた。 僕も笑い返したけど、周りが騒ぎ立てたせいで見えなかったかも。 さっきまで見えてた他の役員の人も、親衛隊とかファンの人に囲まれて見えなくなっちゃったし。 『あーあー羨ましいぜ鈴代。あーんなかっこいいい幼なじみがいるなんてさぁ』 『俺も俺も。役員にダチいるとかすげー自慢だよな』 「そ、そんな、役員だからお友達ってわけじゃないんだよっ?」 『でも…』 『『憧れるよなー』』 それに僕は、苦笑いを浮かべることしか出来なかった。 顔がいいだけで崇拝されて、おまけに友達なのが羨ましい…って。なら、ちゃんと友達になればいいのに。 心からそう思ってくれてる人を、邪険にしたりしないのに。 顔がいいから。 役員だから。 …それだけの理由で友達になりたいと思うなんて、どうかしてると思う。ずっとそう思ってきたけど…ここでうまくやっていくには、いえないんだよね…。 はぁ…そういう僕も、友達!って胸張っていえる友達、いないんだけど…。 「んー…あとは盛り付けて完成、っと」 僕の得意なことは2つ。 1つ目は勉強。 得意っていうか、幼なじみと一緒に勉強してきてたから、自然と身についてくれたみたい。 [*前へ][次へ#] [戻る] |