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……もう2年近く、他の人の料理を食べてない。勤が許さないんだ、他人が作ったものを僕が食べることを。
だから朝昼晩、勤が作ることになった。もう、ずっとそう。
「航のためにバサンス考えて作ったからよ、ぜーんぶ食えよ?残したらお仕置きな」
「う、うん、ちゃんと食べるよっ」
「次これ食え」
焼き魚、朝の和食フルコース。
量は少なくしてくれてるけど、結構キツい。
美味しいんだよ?
でも、お腹いっぱいで残すと、お仕置きされるから必死に食べる。
お仕置きは、怖い。
精神的に、どんどん傷が溜まっていくから。
それから40分くらいかけて食べ、2人で横に並んで歯を磨く。
磨き終わったあとは制服に着替えて、登校時間まで色々。
勤が僕の髪をずっといじってたり、僕が勤の髪をセットしたり。勤の方がうまいから、最後にちょっとやるだけ…やらされるだけ。
「なぁ航、このピンつけてくれ」
「あ…どこ、に?」
「ここ、バッテンになるように頼むぜ」
「う、うん。失敗したらご、ごめんね」
「航がやった髪型に失敗なんてあるかっつーの。何しても、俺に似合って最高だぜ…」
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