4 ……もう2年近く、他の人の料理を食べてない。勤が許さないんだ、他人が作ったものを僕が食べることを。 だから朝昼晩、勤が作ることになった。もう、ずっとそう。 「航のためにバサンス考えて作ったからよ、ぜーんぶ食えよ?残したらお仕置きな」 「う、うん、ちゃんと食べるよっ」 「次これ食え」 焼き魚、朝の和食フルコース。 量は少なくしてくれてるけど、結構キツい。 美味しいんだよ? でも、お腹いっぱいで残すと、お仕置きされるから必死に食べる。 お仕置きは、怖い。 精神的に、どんどん傷が溜まっていくから。 それから40分くらいかけて食べ、2人で横に並んで歯を磨く。 磨き終わったあとは制服に着替えて、登校時間まで色々。 勤が僕の髪をずっといじってたり、僕が勤の髪をセットしたり。勤の方がうまいから、最後にちょっとやるだけ…やらされるだけ。 「なぁ航、このピンつけてくれ」 「あ…どこ、に?」 「ここ、バッテンになるように頼むぜ」 「う、うん。失敗したらご、ごめんね」 「航がやった髪型に失敗なんてあるかっつーの。何しても、俺に似合って最高だぜ…」 [*前へ][次へ#] [戻る] |