貧乏の理由。 オマケに置いていかれただけじゃない。父親が作って借金、8500万を僕に押し付けてきた。 『……どうして…どうして、父さん母さん…っ!』 泣いたなーあの時は。 次の日にはヤクザがやってきて、金払えだの凄んでくるし、家の中のものは全部持っていかれるし。 家賃も払えなく、居場所をなくした僕は、保護者なしでも住めるアパートを必死で探した。 だって、親戚は助けてくれなかったんだ。 今のアパートの大家さんはとても親切な人で、お金のない僕に部屋を貸してくれた上、新聞配達のバイトを紹介してくれた。 中学生の間はそれでなんとかつなぎ、少しずつだけど借金も返して卒業に。 高校は行かず、掛け持ちのバイトで借金返済と家賃、生活費、中学の未払いの学費を今払っていってる。 正直、ツラい。 「っ…落ち込んでるヒマはない!少しでも多くお金を手に入れないとっ」 始めこそ泣いてばかりだったけど、今じゃそんな時間ももったいない。 …じゃあなんでバイトは3つなのかって? それは、夜は……詐欺をはたらいてるから。 ある日、呆然と歩いていた僕は、知らぬ間にネオンで光る裏の道に入ってしまったんだ。 キャバクラ、クラブ、ラブホテル。そういったものが建ち並ぶそこに、始めこそ恐怖を抱いた。 けれど、見てしまったんだ。 男の子が1人、オジサンに話しかけてるとこを。 『……ねぇ、僕を買って?』 『へぇ…うまいの?』 『どうだろ。5万…満足出来なかったら1万でいいよ』 『……いいぜ、来いよ』 もしかして、その子は僕より年上だったかもしれない。 でも、確かに男で、オジサンに腰を抱かれてラブホテルに入っていったんだ。 体を売ってる…それは衝撃的だった。確かにヤクザの人たちにそういう商売を持ちかけられたけど、頼み込んで勘弁してもらったんだ。 それが、目の前で。 『っ…儲かる、のかな…』 そのときの僕は、生活もギリギリだった。 フラフラと足がそちらに向かっていき、欲望にまみれた世界に飲み込まれてしまう……というとき、僕は走ってきた人にぶつかった。 ──………あ…! [*前へ][次へ#] [戻る] |