案内された部屋。 いつの間にか来ていた矢野さんに驚きながらも聞くと、自分はあくまでも北斗の世話係だからといった。 つまり、理事長の秘書をしていれば、北斗のそばにお仕え出来る…と。 感心しますよ、ほんと。 それから少し話をしたけど、会長である北斗と一緒だからってことですぐに切り上げた。 うーん…北斗はよほど理事長のことが嫌いらしい。 確かに、話の節々に子を試すような言い方をしてて、僕もあまりいい心地はしなかった。 お金持ちでも、親子の関係がうまくいくわけじゃないのか。 「お前は俺と住んでもらう」 「え、ヤダ」 「却下。荷物は運んであるし、他に部屋はとってない」 「っ…マジ四六時中一緒…」 はぁぁぁ、大きなため息しか出てこない。オマケにここは男子校らしいじゃないですか。 潤いがない…オッサン共と関わらなくて済むと思ったのに。 色々と悲しくなりながら、エレベーターで一つおりる。 そこは何でも生徒会の人しかいないらしく、部屋自体が広いのだとか。 見てビックリ。 あのアパートの部屋、10部屋は入りそうなほど広く、豪華だった。 「す、ご…い」 「ふっ…お前の部屋はここだ。この部屋に限らず、好きに使っていい」 「いや、でも…それじゃ割に合わないでしょ?僕は借金してる身なのに…」 「俺がいいといったらいいんだ。やることがあるから少し待ってろ」 「ん、分かった」 きっと、今北斗の入っていった部屋は北斗の寝室なんだろう。 そこは入らないよう気をつけようとメモを頭の中でし、まずは与えてもらった部屋を見た。 いやーもう奥さん聞いて下さいよ。前住んでた部屋よりデカいんだけど。 ふわふわのベッドはついてるし、最後までは開かないけど、外の景色が一望出来る大きな窓もついている。 タンスではなくクローゼットで、横に滑らかに開くのに感激もした。 机があるのも、僕にとっては凄いこと! 「はぁ…いいのかねぇ」 どうやって借金を返すかすら決めてないのに、こんな豪華なところに住んでしまって。 [*前へ][次へ#] [戻る] |