一応の挨拶と、
綺麗にお辞儀する矢野さんに見送られて、僕と北斗はエレベーターで最上階まであがった。
こっちは寮らしい。
ホテルかと思っていたので、ビックリした。
金持ちのバカヤロー、と心の中で叫んでおく。
──バンッ!
「入るぞ、親父」
「っ…ほ、くと。扉が壊れるだろ」
あ、そこなんだ。
普通はノックしろ…じゃないのか?
「香澄を連れてきた。こっちにきて座れ。一応理事長とも挨拶しとかねぇとだしな」
「酷い言い方だな。第一、人を買うなんて私は認めてないぞ」
「あ゙?っせぇな、俺のポケットマネーから出したんだから文句はないだろ」
「ポケッ…え、北斗が金出したのかっ!?」
「そういっただろ」
いやいやいや、9000万も子供が出せるとか思わないだろ!
父親が理事長とかいってたから、てっきり借りたものだと…。
まぁ、あとで詳しく聞けば株をしているとかで。そのメガネもダテじゃないな、と思ったのは秘密だ。
理事長さんは、一言でいうとダンディーな人だった。
名前は七星。
若干可哀想な名前だけど、そこは口にチャックをして頑張った。
北斗、七星でかけてるんだって。名字は天沢だし、可愛らしい名前の一家だ。
「……チッ、んなふざけた考えしやがって。だから嫌いなんだよ、名前」
「え……」
「なんだ」
「や、何でも…」
僕、名前で呼んでるよ?
いいの?嫌いなのに。
それにね、僕も自分の名前、あまり好きじゃないからビックリした。
同じことを思ってる人は世の中、いるもんだなぁ。
「まぁ、来てしまったものは仕方ない。ようこそ、BL学園へ」
「……はぁ」
「先ほどいったように、北斗の父でありここの理事長もしている。妻は今GL学園の方にいるが、美人だからといって惚れないように」
「うっぜぇ」
「………」
「それから、秘書の矢野だ。もう会ってるかな?」
「はい。…秘書…も、されてるんですね」
「ええ、社長ではなく理事長の、ですが」
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