異能審神者の憂鬱 前置き 「な・ん・で!置いてくの!?」 同田貫の腕をホールドし、死織はキッと出陣部隊を睨む。睨まれた彼らは、一様に困った顔をした。 「もう俺動けるよ!ちぃとごたごたしてノルマが滞ってるのはわかるけど、俺を置いていく必要ないよね!?」 「あー………主、今回はちょっと危ないから……………」 「なおさら行かせられるかぁっ!!」 ぎゃおうと吠え、ぎゅうとさらに腕に抱き付く。あーどうしよう、と出陣する彼らの顔に書いてあった。留守番になる乱は先ほどから苦笑してそれを見つめている。 ため息をつき、燭台切が死織の前にしゃがむ。 「あーるじ。………指切りするから、許して?1時間で帰ってくるから」 ね?と小首を傾げながら微笑む彼をジト目で見つめ、差し出された小指へ視線を向ける。ため息をつき、渋々と燭台切の小指に自分の小指を絡ませた。 不機嫌です、という顔で歌う。 「指切りげんまん、嘘ついたら簀巻きにして天井から吊るす!指切った!!」 「お前恨み込もりまくりじゃね?」 「当たり前だろ、怪我して帰って来たら塩塗り込んでやるからね」 いつもよりも低く響く声で死織が言うと、全員が痛そうな顔をした。 「………善処はしよう」 「それの裏はいいえです!」 ビシッと三日月に指を突きつけ、もう一度ため息。それからぐるりと彼らを見回して、苦笑ぎみに笑った。 「行ってらっしゃい。………待ってるからね」 [*前へ][次へ#] [戻る] |