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ほとんどの葉が落ちて、すっかり寂しくなってしまった森の中。蓮見は適当な場所に腰掛け、自分の腕の中に紅葉を座らせた。後ろから抱きしめてくれるおかげで紅葉は寒くはなく、蓮見も少しでも暖かくなるようにと体を引っ付ける。
――グリグリーッ
「かわ…い」
「(えへへっ)」
「モミジ……好き、だよ…好きだ」
「っ、ぁ…?」
いつもよりも低く、耳元で囁く蓮見に紅葉は首を上にあげ、不思議そうな顔をした。視界のほとんどを占める、蓮見の顔と黒く青い髪。
紅葉はジーッと見つめてから、下を向いて携帯に手をかけた。
【僕も好きだよ】
「……そ、れは…」
「…?」
「っ…かい、ちょ…は?」
(どないしたんやろ、ハーちゃん…)
どうしてそんなことを聞くのだろうか。そう思いながらも携帯の画面に視線を戻し、ポチポチとクリアボタンを押す。そしてそこにある文字を見て、ハッとした。
【好きだよ】
「っ…(んっ!)///」
「……そ、か…」
なんてことない、蓮見にも向けた言葉。なのになぜか恥ずかしい気がして、紅葉は顔を赤らめながら蓮見にそれを見せた。同じ "好き" かそうじゃないのか、本人に分かっていなくとも、それは一目瞭然だ。
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