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【楽しいこと大好きな椿先輩へ。メリークリスマス】
「っ…はは!アカン、可愛すぎやろっ」
そもそも、タノシイコト、の意味がちゃうし!とゲラゲラ笑う椿の顔は、どこか幸せそうで。名前のない、まるでサンタからの贈り物に、心がほっこりとしてくるようだ。してやられた、そんな気持ちもある。
きっと、夜遅くか朝早くにここまでやってきて、プレゼントを置いていったのだろう。見つからないようコッソリと、喜んでくれるかなと少し不安げに。そんな光景が目に浮かび、椿はクツクツと喉を鳴らした。
「あ、ちゅーことは他のも…」
キョロッと、他の部屋のドアを見渡す。…と、桐の部屋のドアノブにも同じものがかかっていた。一葉たちのとこにないのを見ると、もしかしたら桐もまだ部屋にいるのかもしれない。そして部屋を出て、自分と同じように驚くだろう。
どんな反応をするのか。それが気になってしまった椿は、部屋の中へ戻り、桐に早くこいとメールをしてドアの隙間からコッソリと覗くことにした。
――同刻、桐の部屋
「……チッ、めんどくせぇ」
少し前に起きてはいたがボンヤリしていた桐のもとに、椿から催促のメールが。
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