湧くのは愛着
月日というのは知らない間に過ぎていくもので、紅葉の父親になってからもう一年が経とうとしていた。首はしっかり座り、1人で座るどころか掴まり立ちまで出来るようになり、より可愛らしさが増してきた。
若葉も組に混ざれないことに文句をいいつつも、何だかんだでいい父親をしている。常に携帯を片手に写真を撮りまくり、オマケに初めて紅葉が喋った、『わ、か…ぁぅ』という言葉も録音しているのだから。
「今日は天気エエなぁ…散歩連れてったる」
「あぅ、あー?」
「あ゙?散歩やサンポ。紅葉外好きやろ」
「ぅ、う、す…すっ」
「っ…アカン、まともな人間になりそうや自分…」
というか、まともを通り越して親バカと呼ばれる人種に。すでに親バカと呼んでもおかしくない若葉だが、本人はそれに気づかずに紅葉を抱き上げて散歩に出た。さすが男の人というべきか、ベビーカーなしで荷物を持っていても余裕なようだ。
家の近くの公園…というより広場にやってきた2人。若葉はベンチに深く座り、大きく足を開いてその間に紅葉を座らせた。
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