ワンコ、拗ねる
いつの間に…心臓止まるかと思ったじゃん。と内心ブツブツ文句をいいながらも、蓮見と一緒なら大丈夫だろうと思い、菖蒲も帰る準備を始めた。
一方、きっと文句をいってるだろうなと思いながらも、紅葉と手を繋いで幸せそうな蓮見。こっそりと紅葉を教室から連れ出して、今は寒い外をのんびりと歩き回っているところだ。
――ブルッ
「っは…はぁー…っ」
「モ、ミジ…これ」
「…!っ、(でもっ)」
「オレ、いい。モミジ、使っ…て」
「っ…(コク)」
寒そうに空いた手に息を吐き、顔を触っていた紅葉に蓮見は巻いていた黒のマフラーを貸してあげた。特に厚着をするわけでもなく、唯一つけていた防寒具に紅葉はいらないと首を振るが…蓮見に押し付けられて諦めたようだ。
いそいそと首に巻き、「暖かいね」というようにほっこりとした笑みを見せる。蓮見はそれに小さく可愛いと呟き、また手を繋いで歩き出した。大きな蓮見の手は、小さな紅葉の手を包み込み、暖かさを与えてくれる。
(ハーちゃん、寒くないんかな)
「……木、寂しい、ね」
「……(コク)…」
「座る、寒い?」
「(い・い・よ)」
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