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そしてその組をまとめるのがこの男、山里組組長だ。まだ30前後だというのにこの組を任され、昨年は喜ばしいことに子供まで出来た。跡継ぎも生まれ、順調に進んでいた…のだが、1人の女と子供によって、狂わされてしまった。
「子供の面倒やなんて…聞いたことありまへんよ」
『スマン。これはどっちかっちゅーとワシ個人の頼みなんや』
「……え?」
『実は組のもんは知らん。せやから喋るなよ』
組長の愛人に、子供が出来た。跡継ぎも生まれたことでそろそろ縁を切ろうかと思っていた、その矢先のことだった。おろせといっても女はいうことを聞かず、そしてついこの間、生まれてしまったのだ。それだけなら良かった。お金を渡して、黙っていてくれれば。
……だが、女の体が弱かったのか、子供を産んで2日後、亡くなってしまったのだ。
最悪なことに引き取り手は実父である組長しかいなく、だが妾の子がいるなんて公表するわけにもいかない。そこにやってきたのが、どうしても組に入れてくれとせがんできたこの青年だった。
つまりこの初仕事、子育ては組長の身勝手な行為のせいで押し付けられたのだ。
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