2 そしてその組をまとめるのがこの男、山里組組長だ。まだ30前後だというのにこの組を任され、昨年は喜ばしいことに子供まで出来た。跡継ぎも生まれ、順調に進んでいた…のだが、1人の女と子供によって、狂わされてしまった。 「子供の面倒やなんて…聞いたことありまへんよ」 『スマン。これはどっちかっちゅーとワシ個人の頼みなんや』 「……え?」 『実は組のもんは知らん。せやから喋るなよ』 組長の愛人に、子供が出来た。跡継ぎも生まれたことでそろそろ縁を切ろうかと思っていた、その矢先のことだった。おろせといっても女はいうことを聞かず、そしてついこの間、生まれてしまったのだ。それだけなら良かった。お金を渡して、黙っていてくれれば。 ……だが、女の体が弱かったのか、子供を産んで2日後、亡くなってしまったのだ。 最悪なことに引き取り手は実父である組長しかいなく、だが妾の子がいるなんて公表するわけにもいかない。そこにやってきたのが、どうしても組に入れてくれとせがんできたこの青年だった。 つまりこの初仕事、子育ては組長の身勝手な行為のせいで押し付けられたのだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |